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October 31, 2006

  印画紙現像液D-72の懐深さ

先週末、夏の家族旅行中に撮った6X6のネガをバライタ紙に自家調合した現像液で処理し、プリント作業を行いました。

画像はコチラ

先だって清家冨男さんの写真展に行き、随分と刺激を受けました。清家さんはテーマごと紙や処理を変えていらっしゃるようで、パリの写真は濃いブラウンの温黒に、セミマットというかAGFAのFBの微粒面が近い感じ。、静物は明るいブラウンで紙のベースもかなり黄色っぽく無光沢。ファイン・ヌードでは純黒にさらにセレンを施したようなトーンでグロッシー。それぞれ作風にマッチしており、自分でもいろいろと遊んでみたい気分になっていたのです。

家族旅行でのネガに人力車を撮ったものがありましたので、これをちょっと懐古趣味的に扱ってみようと思い、調色せずにプラウン・トーンが出せ、紙のベースがアイボリーのフォルテ(Polywarmtone Ivory, Semi-matt)を選んでみました。FB紙ではグロッシーの品のある艶が好きなのですが、こういった色調、コントラストではセミマットも良い感じですね。

さてさて、まず露光ですが同じフォルテでも純黒の多階調紙・ポリグレードVに比べ1+2/3段程感度の低い紙ですので、長い露光時間もしくは現像時間が必要となってくるであろうことは予測にありました。

ところで現像液ですが、Kodak D-72タイプを自家調合しておきました。温黒を狙う現像液にはハイドロキノン単用のAGFA120とか、同123などなどがありますが、今回は印画紙現像液としてはデクトールの原型でもあり、王道的なD-72の応用力に頼ってみました。

D-72の処方ですが、
tokyo-photo.netさんのコチラを参考にしています。

ところでこの日用意しておいたD-72は、臭化カリウムの量を80%増量して3.6グラムほど投与しておきました。この臭化カリの増量と、希釈率の増加によって標準現像液でも温黒トーンを狙えるのです。

まずはD-72の標準希釈である1:2でテストピースを現像。現像時間2分ですと、露光時間は64秒が良い感じです。(因みに8x10印画紙へ、印画6x6inch。EL Nikkor 80mm f5.6をf11で使用。)
温黒紙ですから、これでも濃いブラウンになってきますが、まだまだ足らない感じ。
そこでバットに水を注いで現像液をさらに希釈。今度は1:3希釈になりました。

現像液が薄くなったので、露光時間または現像時間は余計に掛かることが予測できます。
ところで先の1:2のときで既に64秒も露光しています。さらなる露光時間の延長は伸ばし機のブレなどのリスクもあり、選択したくはありません。そこで露光時間はそのままとし、現像時間の延長を選択。先と同じ2分、そして3分と4分でテストピースを作成。結果3分現像でとても良い感じ。さらに4分では現像過多でした(そこまで押せることは確認できたわけです)。

ところでドライダウン対策ですが、テストピースをヘアドライヤーで強制乾燥させ、その結果を見て露光時間を決めております。このフォルテ・ポリウォームトーン・アイボリーにおいては、濡れているとシャドウがけっこう黒く見え、乾燥すると濃いブラウンを認識できるようになります。感覚的にはドライ・ブラウン(新しい!)。ですので、濡れたときに良いと思った露光時間より半段ほど押したほうが良いかもと感じました。通常のドライダウン処理の逆ですね。

今回はこのD-72の懐の深さを利用して濃いブラウン・トーンを出すことができました。セピアにいってしまうと印象が軽くなるので、この辺りの色調がとても好みです。以前AGFAからピラドンという多硫化調色のトナーが出ていまして、実用の経験はないのですが、良さそうな感じがしておりました。ところが、もう入手できませんし、とは言え液が臭そうですので、このように紙そのものと、それをより引き出す処理を覚えておけば幅が広がりますね。

ということで処理と結果において満足が得られたのですが、このネガは撮影が甘いですね。まあ手持ちで深度が浅かったのが敗因です。
ところでこの処理で制作したプリントのアーカイバル的な画像保護はどうしましょうかね。フジAGガードを使ってみようかしら。
因みに停止では酢酸を使用せず、水のみで停止。定着はsilvergrainブランドのアルカリ定着液・Clearfixを使用しています。

追記:このD-72現像液では1対1希釈にして、軟調現像液AGFA 105タイプとの2浴処理を行い良いバランスを得たことがあります。
参考:拙文より
a dreamlike unmelted snow pattern, vol.1
a dreamlike unmelted snow pattern, vol.2

posted by mniijima : October 31, 2006 7:21 PM

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